2009年11月28日土曜日

総合政策演習B1② 第10回

 今回は費用逓減産業について,そして少しだけコブ=ダグラス型生産関数についても説明しました.コブ=ダグラスは説明が不十分だったので改めてやります.

【授業の内容】
 費用逓減産業は市場の失敗の例の1つです.電力や通信など初期投資(固定費用)が非常に大きく,限界費用が逓減するような業界は完全競争になりにくく,結果として効率的な資源配分も実現されないことになってしまいます.そのため,政府自らが財を供給することがよく見られます.

 このような費用逓減産業において政府が財を供給している場合,生産量,および価格の決定方法は2種類あります.それが限界費用価格形成原理と平均費用価格形成原理でした.
 限界費用価格形成原理は,P=MCとなるように生産量を決定します.こちらはパレート最適が実現できるというメリットがありますが,費用の構造上,どうしても赤字が発生することになり,その赤字分を政府が補填することになってしまいます.
 平均費用価格形成原理は,P=ATCとなるように生産量を決定します.こちらは財1つあたりの価格と平均総費用が等しいので利潤は0です.赤字ではないので,独立採算で経営していけるというメリットがありますが,パレート最適は実現されません.限界費用価格形成原理と比べ,生産量は少なく,価格は高くなってしまいます.

 次回はコブ=ダグラスについて,そして時間があれば情報の非対称性や所得配分についての問題も解いていきます.

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