2011年4月22日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第3回(4/22)

 今回も時間の大半を価格メカニズムに使ってしまいました.計画より少し遅れてます.

【授業の内容】
 まず,前回学んだワルラス,マーシャル型価格調整メカニズムを数値例で復習しました.一次関数に当てはめるだけなので,経済数学入門の単位を取った皆さんにはそれほど難しくないはず(?).ただ,この図は何度も繰り返し出てくるので,見方,使い方に慣れましょうね.

 続いて前回は時間切れのためできなかったくもの巣理論の説明をしました.くもの巣理論が取り扱うのは,生産までに時間がかかり,かつ保存が効かない財です.具体的には生鮮食料品,特に野菜がよく当てはまると思います.
 まず市場の均衡で決まる価格よりも高い値段で始まるとしましょう.すると,高く売れると考えた生産者はいつもより多く生産しようとします.しかし生産までに時間がかかるので,すぐにその値段で売れるわけではありません.実際に生産してみると,供給量が多いため,値段は下がります(豊作貧乏ですね).普段より安くしか売れないので,来期の生産量は減らすでしょう.しかし実際に生産してみると,供給量が少ないために価格は予想よりも高くなります.このように価格が高い,低いと変動を繰り返すのがくもの巣理論の特徴です.実際にスーパーで売られているキャベツなどの値段の変動幅は大きいですよね.それに引き換え,冷凍保存の効く牛肉などはそれほど変動がないはずです.

 後半は次回から本格的に始まる消費者理論の説明のために,完全競争市場についてじっくり説明しました.完全競争市場とは次のような条件を持った市場のことです.
・多数の売り手と買い手
・財の同質性
・自由な参入と退出
・完全な情報
・生産資源の自由な移動
 これらの条件を満たす市場では,企業はまったく儲かりません.そのため,企業はあの手この手で,完全競争市場から離れようとします.財の差別化などはその典型です.

 さて,最後に少しだけ消費者理論のさわりを説明しました.効用です.効用とは「幸せ」に近いものだと思ってください.財を消費したり,余暇を過ごすことで増えていくものです.今日はこの効用と限界効用の違いを説明しました.効用とは,幸せの水準のことであり,限界効用はその変化量のことです.経済学では「限界」は"limit"を示すものではありません.翻訳前の単語は"marginal"です.「限界」を数学的に言えば微分したものです.これからやたらと「限界なんとか」というものが出てきますが,どれも意味は同じ,あるもの(A)が少し変化したら,それによりどれだけBが変化するか,という割合です.今回の例で言えば,パンをもう1つ食べたら,それにより効用がどれだけ増えるかが,パンの限界効用です.

 さあ,ミクロ経済学が大変そうなことが少しずつわかってきたのではないでしょうか.しっかり予習・復習しないと取り残されますよ.予習範囲については,抜き打ちでテストするので,しっかり予習してきてください.今回の新たな予習範囲はありません.前回指示した範囲を再度読んできましょう.

 なお,練習問題の解答は今日中にホームページにアップします(予定).

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