2011年5月14日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第5回(5/13)

 今回も消費者理論の続きです.

【授業の内容】
 まず無差別曲線の復習からしました.また,無差別曲線の傾きを限界代替率と呼ぶことを説明しました.消費者理論において消費者の目的は効用を最大にすること,つまりより右上の無差別曲線上の点で消費することなのですが,実際には無限に大きい効用を得ることはできません.なぜなら様々な制約があるからです.
 皆さんが直面する様々な制約のうち,もっとも関心があるのは予算制約でしょう.欲しい物がたくさんあっても,お金がないから買えないことを予算制約と呼びます.さて,2財のケースで,この予算制約を図にしてみました.予算制約は直線で描かれ,これを予算線と呼びます.具体的な数値例を使って,予算線の傾きが相対価格を示しており,予算線のシフトが実質所得の変化を示していることを確認しました.
 続いて,予算制約下での効用最大化を図で確認しました.消費者は予算線と無差別曲線が接する点で消費をします.これは,消費者は相対価格が限界代替率と等しい点で消費すると言い換えることもできます.

 この予算線と無差別曲線を使って個別需要曲線を導き出しました.2財のうち1つの価格を様々に変化させると,その財の消費量がどのように変化するのかをプロットし,それを図示すると個別需要曲線が得られます.また,多くの人の個別需要曲線を足し合わせることで(経済全体の)需要曲線が得られます.
 次週はこの需要曲線の傾きが何を意味しているのかを確認します.というわけで,次回は弾力性について予習しておきましょう.

【今回出てきた重要語句】
限界代替率:無差別曲線の傾き.効用を一定に保つには,一方の財の消費を1単位減らしたことによる効用の減少を,他方の財の消費をどれだけ増やすことで埋め合わせるか,という割合.
予算線:予算をすべて使うことで消費できる財と財の組み合わせの集合.

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