2011年5月28日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第6回(5/20)

 今回は弾力性の説明が中心です.

【授業の内容】
 前回需要曲線の導出までやりました.この需要曲線の形状(傾き)にも意味があります.需要曲線が急である場合,価格が変化してもあまり需要が変化せず,逆に緩やかな場合,価格が変化すると需要は大きく変化します.
 皆さんの普段の生活でも,「価格が安くなればたくさん買うんだけどな」という財と,「安くなったけどそんなにたくさんいらないな」という財があると思います.前者のように価格の変化に対して敏感に需要が変化することを需要の価格弾力性が高い,後者のように価格の変化に対して需要が鈍感なことを需要の価格弾力性が低い,と言います.需要の価格弾力性は計算によって求めることができます.計算式はここでは書きにくいので省略しますが,その中身は,価格が1%変化したら需要は何%変化するかを示しています.弾力性が1より大きい場合は需要の価格弾力性が高いと言い,この場合は値下げをすることで企業は収入を増やすことができます.逆に1より小さい場合は弾力性が低いと言い,値上げすることで収入を増やすことができます(値上げしても買ってくれるので).

 さて,この弾力性の考えを応用すると,なぜ学割が存在するのかがわかってきます.弾力性の異なるグループを区別できれば,それぞれに異なる価格を設定することで,合計の収入を増やすことができるからです.その他の例として,ディズニーワールドの近隣住民割引などを説明しました.ホットペッパーなどで手に入る飲食店の割引券や,本のハードカバーと文庫の違いもそうですね.割引券を導入することで「こまめに切り抜いて使う価格に敏感な層」と「面倒だから使わない価格に鈍感な層」のそれぞれに事実上異なる価格を設定することに成功しています.この他にどんな例があるか考えてみてください.

 全く話は変わりますが,代替財と補完財の説明もしました.代替財は以前に説明したのですが,2財(AとB)を考えたとき,A財がB財の代わりになりうる場合,この組み合わせを代替財と呼びます.このような組み合わせの場合,無差別曲線は直線になります.
 一方,補完財とはA財とB財がそろって初めて効用を生み出すような組み合わせのことです.例えばブラックコーヒーが飲めない人にとってのコーヒーと砂糖がそうです.このような場合,無差別曲線はL字型になります.

【今回出てきた重要語句】
需要の価格弾力性:財の価格が1%変化したことで,その財の需要が何%変化するのかを示したもの.

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