2011年5月29日日曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第7回(5/27)

 今回はスルツキー分解です.

【授業の内容】
 スルツキー分解とは,ある財の価格が変化した時に,その財とそれ以外の財の消費量の変化を,相対価格の変化による効果と,実質所得の変化による効果に分解するものです.なかなかわかりにくいですね.

 具体的な話をしましょう.皆さんは毎月,バイトで稼いだお金で,ラーメン(1食700円)とお弁当(1食500円)を食べているとします.さて,このラーメンですが,6月から値上がりすることがわかりました.バイト代はいつもと同じだとすると,ラーメンとお弁当の消費量はどのように変化するでしょうか?
 まず,値上げのせいでラーメンの消費を減らし,相対的に安く感じるようになったお弁当の消費を増やそうという気持ちがあるはずです.この相対価格の変化による消費の変化を代替効果と呼びます.これだけだとお弁当の消費は増えることになりますね.しかし必ずしも増えるとは言えませんよね.なぜなら,ラーメンとお弁当がどんなタイプの財なのかわからないからです.

 ここで上級財と下級財,そして下級財の一種であるギッフェン財のことを復習しておきましょう.上級財とは,所得が増えることで消費が増える財のことで,贅沢品と考えて良いでしょう.一方,下級財は,所得が増えることで消費が減る財のことです.廉価品(安物)をイメージすると良いでしょう.
 さて,世の中にあるほとんどすべての財は価格が上がると消費が下がります.値上がりすれば買わなくなりますよね.対して,ギッフェン財は,価格が上がるとなぜか消費が増える財です.
 ここではラーメン,お弁当,ともに上級財であるとしておきましょう.

 話を戻します.来月もバイト代は変わりませんが,ラーメンが値上がりすることによって,皆さんの生活は厳しくなります.好きなラーメンをあまり食べられなくなるためです.また以前と同じようにラーメンを食べようとするとお弁当を以前ほど食べられなくなりますね.つまり,ラーメンの値上げによって,皆さんの実質的な所得は下がっているのです.
 この実質所得の減少により,上級財であるラーメン,お弁当をあまり買えなくなります.どちらの消費も下げなければ,という気持ちになるはずです.この気持ちを所得効果と呼びます.

 最終的な消費は,この代替効果と所得効果を合計したものになります.確認すると,ラーメンの消費は代替効果で下がり,所得効果でも下がるので,最終的に(実際の消費量は)下がることになります.一方,お弁当の消費は代替効果では上がりますが,所得効果ではラーメン同様に下がるので,実際の消費量はどうなるかわかりません.

 来週はこの話を予算線と無差別曲線を用いて再度説明します.こっちが理解しにくい(説明しにくい)んですよね.皆さんはしっかりテキストで復習してきてくださいね.

【今回出てきた重要語句】
スルツキー分解:価格の変化による消費の変化を,代替効果と所得効果に分解すること.

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