2011年5月28日土曜日

経済学A 第5回(5/17)

 しばらく全然更新してませんでした.レポートの採点が忙しかったもので・・・.

【授業の内容】
 今回は名目値と実質値の違いです.まずはその前提となる物価について説明しました.

 「物価」とはよく聞く言葉ですが,厳密に言うと物価とは何でしょうか.物の価格が物価なのかもしれませんね.物の例として本を考えてみると,同じ本でも出版社が問屋に卸すときの値段,問屋が本屋に売るときの値段,そして私たちが本屋で買うときの値段と,同じ本に3つの異なる価格があります.物価の指標として最もよく使われる消費者物価指数(CPI)は最後の価格,つまり我々消費者が最終的に買うときの値段に注目しています.
 また,最近ガソリンが高いので物価は上がっていると言って良いのでしょうか.しかし薄型テレビは値下がりし続けていますね.我々が買う財(商品やサービス)はたくさん種類があるので,1つの財の価格だけを見ていてもわかりません.そのため,消費者物価指数では,平均的な家計が1ヶ月生活するのに必要な金額を計算することで,様々な財の価格を総合的に示しています.

 この物価ですが,横断面でも違いがあるし,時系列でも変化します.横断面とは,ある財の価格が,ある一時点に異なる地点でどのような違いがあるかをみたものです.時系列とは同じ財が同じ場所でどのように変化するのかをみるものです.授業では具体例をいくつか示しましたね.

 授業の後半は名目値と実質値の説明をしました.その例として所得,GDP,利子率などを取り上げました.
 所得については,皆さんがもらうバイト代,あるいは僕がもらう給与明細に書いてある金額は名目所得です.つまり名目所得とは世間一般でいう所得のことです.対して実質所得とは,名目所得から物価の変化を差し引いたものです.例えば,皆さんがもらうバイト代が一定なのに,そのバイト代で買う服が値下がりすれば実質的にはバイト代が増えたのと同じですね(より沢山の服が買えるようになったから).逆に値上がりすれば実質所得は下がることになります.
 GDPについては,以前にGDPの回に説明したものは正確には名目GDPです.ただし,名目GDPは必ずしもその国の生産力を示すものとは限りません.なぜなら生産力が同じでも物価が上がれば名目GDPは上がってしまうからです.そのため,物価が一定であるとしてGDPを計算したものが実質GDPです.
 最後の利子率ですが,利子率が3%なら預金の価値が1年間に3%上昇するとは限りません.なぜならその間に物価が上昇するかもしれないからです.例えば100万円が103万円に増えたとしても,その間に物価も3%増えれば預金の価値はまったく変化しません.物価がそれ以上に上がれば逆に預金の価値が下がることになってしまいます.そのため,銀行で提示される利子率(名目利子率)だけにとらわれるのではなく,それから物価の変化を差し引いた実質利子率に注意する必要があります.

 今回は最後にケータイを使ってアンケートをとりました.質問には今後の授業で答えていく予定です.

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