2011年10月16日日曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第3回(10/12)

 今回もゲーム理論の続きで,ゲーム理論はここでひとまず終りです.混合戦略ナッシュ均衡はなかなか理解するのが難しいかもしれませんね.

【授業の内容】
 まず前回の復習をしました.前回の最後に説明した逐次手番ゲームを,利得表を使わないで考えてみました.最後通牒ゲームと呼びます.ここでもゲームの解法は「後ろ向き帰納法」を用います.つまり最後に行動する人の戦略を確定させ,そこからその1つ前に行動する人の戦略,さらに前の人というように逆順に戦略を確定させていくのです.

 最後通牒ゲームのルーツは次の通りです.
・プレイヤーは2人(AさんとBさん)
・AさんとBさんの目の前に1万円があり,これを2人で分けることになった.
・まず,Aさんが1万円をどのように分けるか,その配分割合を決める.
・その後,BさんがAさんの決めた配分を受け入れるかどうかを決める.
・Bさんが受け入れれば,Aさんの決めた配分通りに分ける.
・Bさんが受け入れなければ,その1万円は没収され,2人とももらえるお金は0円になる.
・AさんとBさんは利己的で,自身が受け取れる金額にしか関心がない.
・完備情報
・完全情報
 この場合,Aさんの合理的な戦略は(A,B)=(9999,1)となります.なぜなら,これを提示されたBさんは受け入れれば1円,受け入れなければ0円となるからです.

 さて,続いて混合戦略ナッシュ均衡を説明しました.話は戻って同時手番ゲームです.前回説明したナッシュ均衡は厳密には,純粋戦略ナッシュ均衡と呼びます.どれか1つの戦略だけを選ぶか場合です.今回説明するのは,複数の戦略に確率を振ることができる場合のナッシュ均衡です.


 混合戦略ナッシュ均衡は計算で解を求めるのでここでは表記しづらいので大まかな流れだけ説明します.プレイヤーAとBがおり,それぞれ(A1,A2),(B1,B2)という戦略を持っているものとします.
 まずプレイヤーAの立場になり,A1を選んだ場合の利得を考えます.しかし,相手がどちらを選ぶかわからないので,相手の戦略それぞれに確率をふります.例えば,B1にp,B2に1-pです.これによりA1を選んだ時の利得の期待値E(A1)が計算できます.同様にA2についても期待値E(A2)を計算し,どのような場合にE(A1)がE(A2)より大きいか小さいかを確認しましょう.
 続いてプレイヤーBの立場でも,最適反応を計算しましょう.
 この両者の最適反応を図示し,両者の最適反応が交差した点が混合戦略ナッシュ均衡です.

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