2011年10月21日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第4回(10/19)

 今回から独占市場です.独占市場が終わったら中間テストを予定しています.

【授業の内容】
 独占市場は売り手の数により次のように分類されます.
完全独占(狭義の独占)…売り手は1社
複占…売り手は2社
寡占…売り手は少数
独占的競争…売り手は多数

 今回はこのうち完全独占について説明しました.まず完全独占について明確に理解するために,完全競争市場と対比して説明しました.
 完全競争市場とは売り手が多数で自由に参入・退出できる市場です.そのため,競争が激しく,どの企業も利潤が出ません.もし利潤が出るようなら,新たに新規参入が起こり,価格が低下するからです.価格は利潤が出ることもなく,赤字も出ることもないようなギリギリのものになります(P=MC).つまり個別の企業は価格を決定できず,市場で決まる価格を受け入れるしかありません.これを価格受容者(Price Taker)と呼びます.
 対して,完全独占市場では,売り手は1社しかないため,企業は自分の好きなように価格を決めることができます.これを価格決定者(Price Leader)と呼びます.

 さて,独占企業はどのように価格と生産量を決定するのでしょうか.もちろん利潤が最大となるように決定します.どこで生産すれば利潤が最大になるか理解するために図を描きました.企業は限界収入と限界費用が等しい点で生産します.限界収入とは,生産量を1つ増加することにより収入がどれだけ変化するかを示すものです.限界費用は,生産量を1つ増加することにより新たに発生する費用のことです.そのため,企業は限界収入が限界費用を上回るのであれば生産すべきです.通常の企業では限界費用は長期的には増加し,限界収入は常に減少し続けるので,必ずいつかは限界費用と限界収入が等しくなります.ここが最適な生産量です.これで生産量が決まれば,それを需要関数に代入することで価格が決まります.
 ここで確認ですが,限界収入は収入を微分したものであり,限界費用は総費用を微分したものです.今回の数値例を使って何度も計算しましょう.

0 件のコメント: