2008年12月2日火曜日

経済学A 第10回

 前回に引き続き,貿易とグローバル化についてです.1週間空くと,やりづらいですね.

【授業の内容】
 まず,前回の復習をしました.前回,リカードの比較生産費説と呼ばれるものを説明しました.ポイントは,まったく同じ双子のような国同士でない限り,貿易をすることによって両国とも豊かになれる,というものでした.比較優位しかない場合の貿易は,わかりにくかったかもしれないので,今日,改めて説明しました.

 さて,このように貿易には大きなメリットがあるのですが,現実の世界では自由な貿易を妨げる動きがあるのは前回指摘したとおりです.関税,輸入割当などの障壁が存在します.
 しかし,もちろん自由貿易を進めていこうという動きもあります.WTOなどで,世界的な取り組みもありますし,個別の国による貿易協定もあります.授業は貿易協定をいくつか紹介しました.

 後半はグローバル化についてです.普段の授業とは異なり,いくつかの具体的なエピソードを紹介することで,グローバル化する世界に何が起きつつあるのかを伝えたかったのですが,伝わったでしょうか?
 僕の考える重要な点は,これまでのモノの貿易だけでなく,サービスの自由貿易が始まりつつあるということです.これまでは海外との競争をあまり意識していなかったのだけど,今後は(一部の)サービス業も,海外の企業との競争に晒されるでしょう.また,日本について言えば,どうやら外国人労働者の受け入れを増やす方向に,しかも単純労働の担い手を増やす方向にあるのではないかと思います.僕は前者は特に問題だとは思いませんが,後者は方向性を間違えていると感じます.

 さて,労働者が流入すると,あるいはサービス業が国際競争に晒されると何が起こるのか,かなり単純化した極端な例で考えてみました.結論として,日本人の賃金は下がる,ただし,どのような職業に就いているかによってその度合いは大きく異なることがわかりました.ここまで極端な結果にはならないにせよ,かなり高い確率でそちらの方向に進むのではないでしょうか.(ただし経済学者に限らず,未来予想というのはあまり当てにならないモノです…)

*追加12/3*
 授業で話した参考図書を忘れていました.
【参考図書】
トーマス・フリードマン(2006)「フラット化する世界㊤㊦」日本経済新聞社
ピエトラ・リボリ(2006)「あなたのTシャツはどこから来たのか?」東洋経済新報社ドン・タプスコット,アンソニー・ウィリアムズ(2007)「ウィキノミクス」日経BP社
梅田望夫(2006)「ウェブ進化論」ちくま新書
NHKスペシャル取材班(2007)「インドの衝撃」文藝春秋

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