2008年12月8日月曜日

経済学Ⅰ 第12回

 今回と次回の2回に渡り,財政と税について説明します.

【授業の内容】
 今回は日本の財政について説明しました.日本の財政赤字については,皆さんもニュース等でなんとなく知っていることでしょう.果たして,日本は何にお金を使って,どれだけ赤字なのでしょう?

 まずは,国の財政を家計に置き換えて説明しました.こうすると,財政がどれだけ大変な状況にあるかイメージできると思います.月収40万円の家計と考えると,毎月毎月借金が18万円ずつ増えていて,借金の総額が4600万円のようなものです.ただし,普通の家計ならとっくに破産ですが,日本が破産という話は聞きませんね.どうしてでしょう?
 破産しないとしても,この財政赤字はよろしくないので,政府としても借金を減らそうという方向には進んでいます.それが「骨太の方針2006」です.その中身は2011年までにプライマリーバランスを黒字化することだったのですが,昨今の世界的な金融恐慌のために,骨太の方針を転換するのではないかと話題になっています.将来のことを考えて赤字を減らすべきなのか?それとも目の前の不景気を打開すべく政府支出を増やすべきなのか(赤字は増えます)?

 そういう議論のために,ここで大きな政府小さな政府について復習しました.市場への介入について両者の意見は異なります.市場の不完全性(市場の失敗)を問題視して積極的に介入する大きな政府派と,市場の効率性を重視し最低限の介入しか行わない小さな政府派,これは負担は多いけれど面倒を見てくれる政府と,負担は軽いけれど自己責任を唱える政府という選択にもつながる話です.

 さて続いて,2008年度の当初予算のグラフを参考に,国の収入(歳入)と支出(歳出)の内訳を確認しました.日本政府は何にお金を使っているのでしょう?ニュースでは公務員が無駄遣いしているという話を聞きますが本当なのでしょうか?
 歳出で最も大きな項目は社会保障費でした.社会保障とは,年金,健康保険,介護保険など,困った人をみんなで助ける仕組みのことです.少子高齢化が進む現状では,なかなか社会保障費を削るのは簡単ではないでしょう.
 歳入のうち税金については来週説明するものとして,公債金収入に着目しました.ちょうど今,冬の個人向け国債のCMがテレビで流れています.国債については金融政策の回でも説明しましたね.

 次回は税金について説明します.

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