2008年12月25日木曜日

経済学A 第12回

 今回はちょうど今,話題になっている日本の財政と税について説明しました.2009年度の歳出が過去最大になる,条件付きで2011年には消費税が10%になる,など,ニュースを見てると財政の話が非常によく出てきます.果たして消費税の税率アップは皆さんの将来にどのような影響を及ぼすのでしょう…?

【授業の内容】
 まずは,国の財政を家計に置き換えて説明しました.こうすると,財政がどれだけ大変な状況にあるかイメージできると思います.月収40万円の家計と考えると,毎月毎月借金が18万円ずつ増えていて,借金の総額が4600万円のようなものです.ただし,普通の家計ならとっくに破産ですが,日本が破産という話は聞きませんね.どうしてでしょう?
 破産しないとしても,この財政赤字はよろしくないので,政府としても借金を減らそうという方向には進んでいます.それが「骨太の方針2006」です.その中身は2011年までにプライマリーバランスを黒字化することだったのですが,昨今の世界的な金融恐慌のために,骨太の方針を転換するのではないかと話題になっています.将来のことを考えて赤字を減らすべきなのか?それとも目の前の不景気を打開すべく政府支出を増やすべきなのか(赤字は増えます)?
 そういう議論のために,ここで大きな政府と小さな政府について復習しました.市場への介入について両者の意見は異なります.市場の不完全性(市場の失敗)を問題視して積極的に介入する大きな政府派と,市場の効率性を重視し最低限の介入しか行わない小さな政府派,これは負担は多いけれど面倒を見てくれる政府と,負担は軽いけれど自己責任を唱える政府という選択にもつながる話です.
 さて続いて,2008年度の当初予算のグラフを参考に,国の収入(歳入)と支出(歳出)の内訳を確認しました.日本政府は何にお金を使っているのでしょう?ニュースでは公務員が無駄遣いしているという話を聞きますが本当なのでしょうか?
 歳出で最も大きな項目は社会保障費でした.社会保障とは,年金,健康保険,介護保険など,困った人をみんなで助ける仕組みのことです.少子高齢化が進む現状では,なかなか社会保障費を削るのは簡単ではないでしょう.
 一方の歳入において最も重要な,税金というのはどんな性質を持っているのでしょう.
 まず,3つの点から税金を分類しました.国税と地方税,直接税と間接税,一般税と目的税です.近年の日本では直接税を減らして間接税を増やす方向に進んでいるようですが,果たしてなぜなのでしょう?またどのような未来になるのでしょうか?「税金はどれも一緒だ!」という乱暴なくくりではなく,それぞれの税の特徴を見てみましょう. 税を評価するための概念として,公平性と公正性を紹介しました.どちらもよく聞く言葉ですが,厳密にそれぞれの意味を確認しました.その上で改めて,直接税の代表である所得税と,間接税の代表である消費税の税率変更が持つ意味を説明しました.

 今後もニュースでは財政の話が多く採り上げられると思います.日本の将来の道筋を占う上でも,少しだけ関心を持つこと(持ち続けること)を意識してください.

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