2008年12月10日水曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第13回

 今回と次回に渡ってミクロ貿易理論を説明します.

【授業の内容】
 まずリカードの比較生産費説を説明しました.1年次の経済系科目で聞いているようでしたので,なるべくコンパクトに説明しました.
 両国にそれぞれ絶対優位となる財が存在する場合,大方の予想どおりの結果となりました.つまり両国が互いに得意な財の生産に特化し,それを輸出しあうことで両国とも幸せになる(パレート改善)ことが可能でした.
 続いて一方の国に絶対優位となる財が偏っている場合を検証しました.つまり何の生産でも得意な国(A国)と,すべての財の生産において劣っている国(B国)の両国の貿易についてです.この場合,A国はすべての財の生産が得意だとしても,B国と比べると圧倒的に優位にある財もあれば,ほぼ一緒だけれど少しは優位にあるという財もあるでしょう.その場合,より得意な財の生産に特化します.逆にB国は苦手なものばかりだとしても,「まだ少しはマシかな?」という財もあるでしょうから,その財の生産に特化します.このように,「より得意だ」,あるいは「まだマシだ」という状態を比較優位と呼びます.A,B国はそれぞれ比較優位にある財の生産に特化し,それを輸出することで,今度も両国とも豊かになれます.これが貿易が持つ素晴らしい長所です.
 ただし,数値例では「良かった,良かった」で済みますが,現実の経済では特化することで血が流れます.つまり特化により生産量が増える企業もあれば,自由貿易の結果,生産量を減少させる(生産規模が縮小してしまう)企業があります.リストラや倒産が数字の裏には隠れています.そのため,リカードがこの比較生産費説を唱えて約200年が経ちますが,いまだに自由な貿易を妨げる障壁がいくつも残ったままです.

 最後に貿易三角形を紹介しました.生産可能性フロンティア,相対価格と無差別曲線から,その国の輸出,輸入がグラフ上の三角形で表現されました.

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