2008年5月13日火曜日

経済学A 第3回

 今日はマクロ経済学と題して,日本経済全体の仕組みと経済思想の簡単な流れを紹介しました.

【授業の内容】
 まずは「景気とは何か?」からスタートです.景気って何でしょうか?どうやって測るのでしょうか?ここではニュースにも出てくる指標として,GDP成長率と日銀短観を紹介しました.GDPもそうですが,今日の内容は全体的に社会常識(あるいは,知っておいても良いだろうというもの)が多いです.その分だけ,面白味にかけるから,みんな寝ちゃうんじゃないかと危惧していましたが,みんな真剣に聴いていたようで嬉しいです.
 さて,そのGDP(国内総生産)ですが,その名の通り,国の中でどれぐらいモノが生産されたか,というのが大雑把な説明ですが,厳密に言うと付加価値の総額です.では,付加価値って?と言うわけで,授業では図と数値を用いて付加価値の考え方を説明しました.
 さらに,GDPの流れを追って,GDP(総生産)と総所得と総支出が等しいという三面等価の原則を説明しました.小テストの内容もこれでしたが,みんなきちんと答えていました.

 続いて,経済全体の仕組みの図を描き,それを使いながら経済思想の流れを説明しました.
 国内の主なプレーヤーは,民間側として,企業,家計,(市中)銀行,公側として,政府,中央銀行(日銀)の5つが存在します.これらがそれぞれの役割を果たしています.民間側のプレーヤーはそれぞれ自分の利益を求めています.家計は効用(幸せのこと)を,企業や銀行は利潤をそれぞれ求めています.
 一方の政府や日銀は,国全体の経済が上手く,安定して成長するように手助けをしています.この政府や日銀の手助け(介入と言います)の是非をめぐって,経済学には異なる立場が存在します.

 アダム・スミスに代表される古典派経済学は,市場には「神の見えざる手」が存在しており,物事が効率的に動いていると考えるので,政府による介入については消極的な立場を採ります.政府は最低限の仕事だけをすればよい(夜警国家)というスタンスです.また,需要と供給の関係については,供給が需要を生み出すというセイ法則を唱えています.大事なのは供給,つまり生産力を増加することのようです.
 しかし古典派は,世界大恐慌にはなすすべがありませんでした.そこで台頭したのがケインズ派です.ケインズ派は市場の失敗を認め,政府による積極的な介入を勧めました.需要と供給については,有効需要の原理(需要が供給を生み出す)の立場にあるので,需要促進による景気回復という政策を採ります.
 積極的な介入は当然費用がかかるため,ケインズ派を信奉する国々の中には財政赤字に悩む国が少なくありません.そのため,また振り子が戻るように新古典派に回帰する国もあります.イギリス,アメリカ,そして近年の日本です.
 規制緩和,民営化,官から民へ,いずれも小泉政権の頃からよく聞くキーワードです.果たしてこのまま日本は市場原理を優先した社会に進むのか,それとも政府による介入を認める社会になるのか,皆さんが考えなければならない問題です.

【アンケートについて】
 アンケートの結果はきちんと集計したわけではありませんが,まとめてみると,
・やっぱり難しい
・そこまでつまらなくもないよ
・例はわかりやすい
 という3つに集約されるようです.「今日はおもしろくないよ」と事前に言っていたためか,「それほどおもしろくないわけでもない」という喜んで良いのかどうか,という意見が多々見られました.まぁ,総じて意外と好評だったので,こちらとしても嬉しいです.
 「難しい」という意見も多かったです.「簡単=良い授業」とは思いませんが,この授業では難しいことをわかりやすく説明するのが,僕の仕事だと思っています.今後もわかりやすい授業を心掛けようと思いますので,みなさんももっと質問して下さい.
 アンケートでも1つ質問があったので,来週の授業で説明したいと思います.

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