2008年5月30日金曜日

開発経済学 第9回

 今回は近年話題のマイクロ・ファイナンスを採り上げました.

【授業の内容】
 マイクロ・ファイナンスは当初来週の予定でしたが,ちょうど前日,テレビでマイクロ・ファイナンスの新しい形であるマイクロ・ファンドの団体Kivaについて特集(?)があったので,誰か見ているかと思い,1週早めたのですが,あまり見ていた人はいなかったようです.
 日本主催のTICAD(アフリカ開発会議)があったため,この2週間ぐらい,NHKではアフリカの貧困についてのドキュメンタリーを多く放送していました.

 さて,マイクロ・ファイナンスですが,その定義は「貧困層や低所得層を対象とする小規模な金融」です.岡本他(1999)
 他の金融機関,あるいは貧困削減政策との主な違いは
・融資額が小さい
・金利が低くない(インフォーマル金融よりは低い)
・高い返済率
・担保なし
 と言ったところでしょう.(もちろんすべてのマイクロ・ファイナンスにあてはまるわけではない)

 授業では例として,ムハマド・ユヌス氏が設立したグラミン銀行を紹介しました.関心がある人は図書館でユヌス氏の自伝を借りてみて下さい.

 なぜ既存の金融機関は貧困削減に機能しなかったのでしょうか?その理由としては,貧困層に対する誤解がありそうです.貧困層は怠惰であるが故に貧しく,融資しても消費に使ってしまい返済しない,という誤解から貧困層がフォーマルな金融機関から融資を得られる機会はあまりありませんでした.その他にも,融資最低金額が低い,担保が要求される,手続きが煩雑,など様々な理由により貧困層は金融機関から遠ざけられていました.

 マイクロ・ファイナンスは,貧困層にとって投資を可能にし,貧困の罠から脱却する大きなチャンスです.マイクロ・ファイナンスに対する批判が無いわけではありませんが,それでもやはり魅力的な貧困削減策であると僕個人は思っています.

【参考文献】
岡本真理子他(1999)「マイクロファイナンス読本」明石書店
ムハマド・ユヌス(1998)「ムハマド・ユヌス自伝」早川書房

【今後のレポートについて】
第2回 外部講師の講演についての感想文
 提出期限:6/19
第3回 課題図書を元にしたレポート(自由課題,感想文ではない)
 提出期限:7/10
第4回 未定
 提出期限:7/10

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