2008年5月23日金曜日

開発経済学 第7回

 今回は人口論です.途上国では出生率が高いようですが,なぜなのでしょう?

【授業の内容】
 以前に,人口が増えれば1人当たり産出量(所得)が小さくなってしまうというマルサスの罠を紹介しました.一定の農地を持つ家庭にたくさん子どもが生まれれば,世代を経る毎に,1人当たりの産出量が下がっていくのは自明と言えます.
 さて,ではどうして途上国の人々はたくさん子どもを産むのでしょう?計画性が無いからなのでしょうか?それとも我々が想像し得ない理由があるのでしょうか?

 まずは,人類の繁栄の歴史?として,超長期の人口推移を紹介しました.それまでほとんど増加がなかった人類ですが,1800年以降はまさに爆発的にその数を増加させています.
 この人口爆発の説明として,人口転換を紹介しました.19C初期までは先進国ですら高出生・高死亡であったのが,その頃から高出生・低死亡へと転換しました.これにより,人類の数は急激に増加してしまいました.先進国では次のフェイズ(低出生・低死亡)へと移っています.

 一体,何が出生を決めるのでしょう?ここでは近代人口論の祖であるマルサスを紹介した後,近年(といってもずいぶん前ですが)提唱された3つの代表的な仮説を紹介しました.
・ライベンシュタインの費用-便益仮説
 人々は子どもを持つことの費用と便益(効用)を比較して,子どもの数を決めるというもの.これにより低所得層と高所得層で希望子ども数が異なることがわかる.
・ベッカーの質・量モデル
 簡単な式から,なぜ教育水準の高い国では子どもの数が減ってしまうのかを説明できる.子どもを増やす限界費用と,教育年数を増やす限界費用を比較しました.
・イースタリンの相対所得仮説
 これはあんまり途上国の分析には使えないかも…?

 ここで脱線して人口増加のメリットについても2つ挙げました.(省略)

 最後に人口政策について簡単に説明しました.人口抑制政策として有名なのは中国の1人っ子政策ですが,劇的な効果をもたらす一方,その代償も小さくありません.急速な高齢化は日本以上になるでしょうし,失われた女性という問題もあります.

【レポートの返却について】
 第1回レポートは採点の上,来週の講義で返却します.取りに来ない場合は欠席と言うことで.

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