2008年11月20日木曜日

経済学Ⅰ 第10回 

 今日は前回の為替に関連して貿易について説明しました.特にリカードの比較生産費説と呼ばれるものの中身を数値例で説明しました.

【授業の内容】
 今日は,貿易を行うことが,両国にとってどのような影響を及ぼすのかを考えました.

 まず,互いに得意な生産物が異なるケースとして,漁師と農家を例に,自給自足(国で言えば鎖国状態)と物々交換をする場合(貿易)を比較して,両者が豊かになることができるか確認しました.大方の予想通り,両者とも幸せになることができそうでした.この例は,互いに絶対優位にある生産物が異なるケースにおいて,絶対優位にある財の生産に特化し,貿易することで両国とも豊かになる可能性を示唆しています.

 続いて比較優位のケースです.今度は,テレビと自動車の生産に秀でている日本と,どちらも苦手なイギリスとの貿易を考えてみました.事前のアンケートでは,「貿易するとイギリスは豊かになるが日本には損失が発生する」と予想する学生がほとんどでした.
 しかし,具体的な数値例で確かめてみると,鎖国状態と比べて両国とも豊かになるような生産,貿易が存在することがわかりました.この結果は意外なものであったと思います.

 さて,このように両国とも豊かになれる(Win-Win関係)という素晴らしい貿易ですが,現実の世界では関税や輸入割当などにより自由な貿易は妨げられています.その理由は,自由な貿易により国全体は豊かになるものの,国際競争力のない産業はその規模縮小を余儀なくされるためです.皆さんだって,「あなたは失業しますが,日本は豊かになります」という政策には賛成しませんよね….

 来週はグローバル化について講義したいと思います.

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