2008年11月5日水曜日

経済学A 第7回

 今回は前回に引き続き,資産運用についてでした.

【授業の内容】
 前回のファンダメンタル分析を復習した後,効率的市場仮説について説明しました.簡単に言うと,すでに知られている情報が株価に影響を与えることはない,というものでした.それまでに公表されている情報は株価に織り込まれているという言い方もします.

 さて,株式とギャンブルはどこが違うのでしょうか?株でお金を儲けることと,ギャンブルでお金を儲けることはどちらが合理的なのでしょう?
 世の中には様々なギャンブルが存在しますが,あらゆるギャンブルに共通するのは,賭け手(私たち)がギャンブルする時は平均すれば確実に損をするという点です.1万円をどんなギャンブルに使っても,その期待値は必ず1万円を下回ってしまいます.ヴォルテールが「宝くじは頭が悪いことに対する税金である」と言ったように,確率的に考えれば決して合理的な選択肢とは言えません.もちろん採算度外視でお金を賭けること自体に喜びを感じる人にとっては合理的な選択なのかもしれませんが,少なくとも資産運用の手段としては誤っています.

 対して株式を期待値で考えれば長期的にみれば(少なくともこれまでは)お得な選択肢です.長期的なリターンは結構高いようです.
 しかし,株式にはリスクがあるので,損をすることもあります.ただし,株式は株の選び方により,リスクを軽減することができます.このリスクヘッジの方法を単純化した例で確認しました.

 後半は株式以外の資産運用の方法(金融商品)を,リスクとリターンという観点から紹介・比較しました.

・銀行預金
 銀行預金はリターンは低い(利子率が低い)ですが,リスクも低いという特徴があります.ペイオフやインフレというリスクはありますが,株式に比べればリスクは非常に小さなものです.

・国債(地方債)
 これらも非常にリスクが低いという特徴があります.一方,利回りは銀行預金に比べればやや高めです.近年は個人向け国債も発売されているので,比較的身近になりましたね.

・投資信託
 いわゆる投信,ファンドと呼ばれるものです.我々個人投資家が1万円からという少額で投資することができます.我々から集めたお金をプロが運用します.様々な銘柄に分散投資するのでリスクは小さくなりますし,そもそもプロが運用してくれるので信頼できるような気がします….
 ただし,投資したお金の1%ぐらいが手数料として毎年かかるのがマイナスポイントです.
 ちなみに変わったファンドとしては,ワインに投資するワインファンド,映画ファンドなども存在しますし,不動産に投資するRIET(リート)は結構有名ですよ.

 この他,外貨預金,FX,金(きん),土地,商品先物など様々な資産の運用方法がありますが,いずれも,リターンが高ければリスクも高い,リスクが低ければリターンも低い,というのは共通した法則です.リスクが低いのにリターンが高い,つまり「確実に儲かりますよ!」という言葉が嘘であることがわかりますね.皆さんも甘い言葉に騙されないように,確実に大儲けすることができるには,インサイダー情報で株を買うなど違法行為だけです(当然ですが,違法行為をしろという意味ではありませんよ).

 以下は資産運用に興味がある人にオススメの図書およびサイトです.
【図書】
日本経済新聞社編(2005)「なっとく!マネー塾」日本経済新聞社
日本経済新聞社編(1990)「ベーシック株式入門」日本経済新聞社
ジョン・A・パウロス(2004)「天才数学者、株にハマる」ダイヤモンド社
【サイト】
野村證券のバーチャル株式投資倶楽部
http://my.nomura.co.jp/virtual/app

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