2008年11月14日金曜日

経済学Ⅰ 第9回

 前回までしばらく金融でしたが,今回は「円高はなぜ悪い?」と題して,為替と貿易について説明しました.

【授業の内容】
 まず為替レートの確認です.円高,円安というのはややこしいですよね.「1ドル100円が80円になった」と聞くと,「100円→80円だから円安だ」という風に間違えそうになります.しかし100円から80円になったのは,1ドルという商品の値段であり,1ドルが(日本円と比較して)安くなったのです.つまりドルが安くなったのですが,それは円と比較して安くなったので,相対的に円は高くなっています.これが円高(ドル安)です.
 さて円高のどこが悪いのでしょう?日本円が高くなったということは,世界的に見て,私たちが持っている円の価値が高くなったということなので,外国の商品を安く買うことができます.そのため外国から輸入する原油や食料品なども安くなるはずです.円高にだってメリットはあるようです.
 しかし,外国から見ると(ここではアメリカとしましょう),日本円の価値が上がるということは,ドルの価値が下がることなので,アメリカ人にとっては日本から輸入するモノ,例えば日本製の自動車やデジカメなどは高く感じることでしょう.そのため,当然日本からの輸出は減少します.授業では円高,円安のメリット・デメリットをまとめて比較しました.

 さて,ではこのような為替の変動はどういった要因で起こるのでしょう.その理由は実に多様ですが,授業では,前回からの関連で利子率に焦点を当てて説明しました.
 現在のように日本の利子率が低く,他の国の利子率が高いとどういうことが起こるのでしょう.手元にあるお金を日本で預けても利子があまりもらえないから,海外の銀行に預けようという人もいるでしょう.その際に,日本円のままでは預金できないので,日本円を売って,外貨を買うという取引が行われます.つまり外貨の需要と日本円の供給が行われます.
 為替相場も普通の財と同様に需要と供給のバランスで決まるので,上記のケースでは日本円が下がり,外貨が高くなるでしょう.
 さらに抜け目ない人は,手元にお金がなくても,日本の銀行で円を借りて(貸し出す際の利子率も低い),日本円を売り,外貨で運用するかもしれません.このケースでもやっぱり日本円は売られるので円安になりそうです.結局,お金というのは一番儲かりそうなところに向かって動く習性があるようです.

 さて,この為替相場の変動は日本の景気にどういう影響を及ぼすのか,マクロ経済の図を用いて,その因果関係を確認しました.

 最後に小テストを実施しましたが,ほとんどの人は正解でした.

0 件のコメント: