2009年5月26日火曜日

経済学A 第7回

 今日は株式について学ぶための基礎知識として,現在価値,期待値,リスクについて学びました.

【授業の内容】
 まず,利子現在価値の関係を説明しました.現在,手元にある100万円を銀行に預ければ(利子率1%とする),1年後には101万円になります(税金や手数料は無視しておく).つまり,この場合,現在の100万円と1年後の101万円が同じ価値であると言えます.お金は時間が経つと増えると考えても良いかもしれません.
 さて,では逆に考えることも可能です.つまり1年後の101万円を現在の価値に直すと100万円です.このような考え方を,現在価値(現在割引価値)と言います.将来受け取るお金を現在の価値に直すときには利子率で割り引かねばなりません.きちっとした計算式は講義中に書きました.

 つづいて,期待値とリスクの説明をしました.期待値とは,(すでに起きたことではなく)これから起こるであろう事の確率的な平均値です.つまり未来の平均値ですかね.宝くじやギャンブルを例に説明しました.期待値で考えると,宝くじは非常に割りの悪いギャンブルです.宝くじするぐらいなら,公営ギャンブルをした方がまだマシだと思いますが,なぜか宝くじは人気があります.僕の自宅の近くにも宝くじ売り場がありますが,いつも賑わっているような気がします.なぜ人は宝くじを好むのでしょう?
 僕の推測では,人々は宝くじが当たる確率を過大に評価しているからだと思います.宝くじの1等が当たる確率はおよそ1000万分の1だそうです.1年間に交通事故に遭う確率が0.9%(国交省),1年間に窃盗の被害に遭う確率が約1.4%(警察庁)ですから,それぞれ3年連続で被害に遭うよりも低い確率ですね.わかりにくいか…?9つのサイコロを一斉に振って,すべて1が出る確率がだいたい1000万分の1です.ありえませんね.しかし多くの人は,自分に1等が当たる確率を(頭ではもっと低いとわかっていても)なんとなく1000分の1ぐらいの確率で当たると思っているんじゃないですかね.
 というわけで,金儲けの手段として宝くじを選ぶことは実に馬鹿馬鹿しいのですが,「ひょっとしたらお金持ちになれるかも?」という夢を買っているのだと思えば300円は妥当かもしれません.「じゃあパチンコの方が得だ!」と思う人は,機会費用も考えてください.宝くじと違ってパチンコの機会費用は高いですよね?合理的に考えるとギャンブルはしないのが正解でしょうね.ちなみに違法なのでやってはいけませんが,仲間内での麻雀は期待値が100%なので,平均的には損でも得でもありません.(仲間内でお金が移動しているだけなので当たり前ですね)

 さて,リスクですが,これは世間の人が使っている意味と,経済学の世界で使う意味が異なるので要注意です.世間では「リスク=危険性」と考えられがちですが,経済学では「リスク=結果のバラツキ」です.そのため,確実に大損をする挑戦にはリスクはありません.なぜなら結果が決まっているからです.

 では,基礎知識は終わったので,次週から現実的な株の話をしましょう.今回話した,魔法のカードの話を覚えておいてくださいね.

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