2009年5月9日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第5回

 今回はミクロ経済学ベイシックⅠでは,教える側の僕にとって一番の鬼門であるスルツキー分解を説明しました.

【授業の内容】
 スルツキー分解とは,家計による消費を,所得効果と代替効果に分解してとらえるという考え方です.話はだいたいイメージできるかもしれませんが,図の説明は難しいんですよねぇ….

 与えられた予算のもとで,2つの財(AとB)のうち一方の価格が変化したら,それぞれの財の消費はどうなるかを様々な例で説明しました.
代替効果
 代替効果とは,相対的に安くなった方の財の消費を増やそう,そして相対的に高くなった方の消費を減らそうという気持ちのことです.ポイントは"相対的に"という点です.ある財(A)が値上がりしたら,この財を減らそうという気持ちはあるでしょう.それだけでなく,この財(A)が値上がりしたことで,相対的にもう一方の財(B)が値下がりしたように(実際には変わっていませんが)感じられるので,消費を増やそうという気持ちになるはずです.牛肉が値上がりすれば豚肉を買おうと思いますよね?それが代替効果です.
所得効果
 所得効果は,実質所得が変化したことによる消費の変化に注目します.こちらのポイントは"実質"所得であるという点です.つまり所得が実際に変化していなくても,実質的に豊かになったり,貧しくなったりすることによる変化も考慮しているのです.
 実質的に豊かになるとはどういうことでしょう?例えばあなたが普段,米だけを食べているとしましょう.その時,生活費が先月と同じでも,米の値段が安くなると,今月は実質的に豊かになった気がしますよね.これが実質所得です.
 というわけで,上の例のように,ある財(A)が値上がりしたら,その人にとって購入することの出来る財の組合せが減ってしまうので,実質的に貧しくなっています.では,実質所得が減ると,それぞれの財の消費は増えるのでしょうか?減るのでしょうか?それはそれぞれの財が上級財なのか下級財なのかによって変わってきます.

 なかなかややこしい話なので,来週も説明します.

 今回配ったプリントは自習用ですので提出する必要はありません.

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