2009年6月21日日曜日

開発経済学 第10回

 今回は国際的な援助についてでした.といっても前回,ODAのうち主に二国間援助を説明したので,それを除く国際的な援助について説明しました.

【授業の内容】
 まず国際援助の実施機関の区分からです.国連(とそのグループ)を始めとする国際機関,二国間援助,そしてNGOです.それぞれ,異なる長所と短所を持っており,互いに補完する性質を持っていると言えるでしょう.
 機関の名前だけ聞いていてもイメージがわかないので,実際にUNHCRで働く日本人の映像をみてもらいました.過酷な現場ですが,笑顔が印象的でしたね.

 援助の現場にいるのは国際機関だけではありません.NGO(NPO)の存在感は年々大きくなっています.NGOは資金・人材が限定されるという欠点もありますが,柔軟できめ細かい援助ができるという利点もあります.

 さて,援助の方法ですが,授業では,次の2つに分類しました.
・資金,物資の援助
・指導
 前者はすぐにイメージできますが,後者はなかなかイメージしにくいでしょう.授業では1980年代にIMFや世銀が行った構造調整を採り上げ,その結果について照会しました.
 それも含め,援助についての理論として,マクロ・ミクロの両面から説明しました.マクロとしてはTwo-Gapモデルの説明と,その評価について,そして構造調整に関して途上国に突きつけられた条件(Conditionality)を具体的にみていきました.

 対するミクロ面として,参加型開発について説明しました.参加型開発は,調査にかかるコストの増加や受益者による利益誘導の恐れというデメリットがありますが,それをカバーする様々なメリットを持っています.

 さて,援助について2回に渡ってみてきましたが,BurnsideとDollarは「受け入れ国のガバナンスが良好である場合にのみ,援助は有効に働き,経済成長に寄与する」という研究を発表しました.これまでもガバナンスという言葉がちょこちょこでてきていたのですが,次週はガバナンスとは何かについて講義したいと思います.

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