2009年10月2日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第2回

 今回は本格的にゲーム理論に入りました.

【授業の内容】
 今回は,同時手番ゲームを「支配される戦略の逐次消去」と「ナッシュ均衡(純粋戦略)」で解きました.
 前回,少しゲームについて説明しましたが,今回はきちんと定義しました.

用語説明
ゲーム:相手がおり,それぞれの行動が互いに影響を及ぼすような状況のこと.
戦略:それぞれのプレイヤーが選ぶ行動のこと.
利得:ゲームの結果,プレイヤーが得る利益
同時手番:プレイヤーが同時に戦略を決定すること(⇔逐次手番)
逐次手番:プレイヤーが順に戦略を決定すること(⇔同時手番)
完備情報:それぞれのプレイヤーが利得表の中身を知っており,またそれぞれが知っていることもわかっている状態(⇔不完備情報)
完全情報:(逐次手番ゲームにおいて)過去のそれぞれのプレイヤーの行動を知っていること(⇔不完全情報)
非協力ゲーム:それぞれのプレイヤーは利己的であること(協力ゲーム)

 今回は,同時手番,完備情報,非協力ゲームを考えました.まず,このゲームの解き方として,前回の囚人のジレンマゲームで使った,「支配される戦略の逐次消去」という考え方(解法)を説明しました.「相手がどんな戦略を選ぼうとも,戦略Aよりも戦略Bの方が同等以上の利得を得られる」場合には,使い途のない戦略A(これを支配される戦略と呼ぶ)は選ばないはずです.つまりこのような戦略は消去しても構いません.これを繰り返すことで,それぞれのプレイヤーが取るべき戦略が1つに定まることがあります.これを「支配される戦略の逐次消去」と呼びます.
 ただし,「支配される戦略の逐次消去」の力は限的的です.解けるゲームもありますが,解けないゲームもあります.そこで,「支配される戦略の逐次消去」で解けるゲームはすべて解け,さらに「支配される戦略の逐次消去」で解けない問題も(場合によっては)解けてしまうという,よりパワフルな解法が「ナッシュ均衡」です.
 「ナッシュ均衡」の定義は,「プレイヤーAの戦略はプレイヤーBの戦略に対する最適反応であり,プレイヤーBの戦略はプレイヤーAの戦略に対する最適反応であるような状態のこと」です.直感的に言えば,それぞれのプレイヤーが相手の裏をかくことができなくなった状態とも言えます.ずいぶんややこしい説明ですが,問題を解くことに限れば非常に簡単に解けたはずです.

 来週は,ミニマックス原理,ナッシュ均衡(混合戦略)および,逐次手番ゲームについて説明したいと思います.
 今回はゲームの課題がありました.来週の講義で提出してください.

0 件のコメント: