2009年10月11日日曜日

経済学Ⅰ 第4回

 今回は名目値と実質値について説明しました.

【授業の内容】
 前回の後半に物価の話をしましたが,その続きです.物価は時系列に変動しますし,横断面で見ても違いがあります.それらの具体例をいくつか紹介しました.また,物価はなぜ上昇するのかを,ディマンド・プル・インフレーションコスト・プッシュ・インフレーションとに分類しました.

 さて,本題は名目値実質値の違いです.中身の説明の前に,数値を使った具体例で,名目所得と実質所得の違い,名目GDPと実質GDPの違いについて説明しました.それらの具体例からわかったことは,我々はついつい名目値に目を奪われがちですが,所得やGDPの本質をつかむために実質値にも目を向ける必要があります.
 名目所得の例は,労働者が受け取る賃金です.この賃金が10%増えると,労働者は10%豊かになったと断言することはできません.なぜなら賃金が増える間に物価はどのように変動したかがわかっていないからです.賃金が10%増えたとしても,その間に物価が20%増えていたとすれば,賃金の名目値は増えますが,この労働者の生活は貧しくなってしまいます.我々が所得に注目するとき,それは豊かさを測るモノサシにするためでしょう.しかし,名目値の変化を見ても豊かになったかどうかはわかりません.
 同様にGDPについても名目値ではなく実質値に着目する必要があります.名目GDPは物価が変動することで増えたり減ったりするため,名目GDPだけを見ても,その国の本当の経済力がどんなものなのか,昨年と比べて経済成長をしたのか,などについて正確なことがわかりません.そのため,物価変動の影響を受けない実質GDPも併せて見る必要があります.

 今回は確認のためのミニテストとして,実質GDPと物価の関係を問う問題を出しました.正答率はもう少し高いかと思ったのですが….

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