2009年10月31日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第6回

 今回は複占におけるクールノー均衡の説明をしました.

【授業の内容】
 複占とは,ある財の売り手が2社のみである状態のことです.今回はこのような市場を,同時手番,非協力ゲームとして解く方法を説明しました.2社による駆け引きなので,ゲーム理論におけるゲームとして捉えるとクールノー均衡もより深く理解できるでしょう.クールノー均衡とは,2社がそれぞれ自社の利潤を最大とするように生産量を決定する場合のナッシュ均衡です.そのため,クールノー均衡は,クールノー・ナッシュ均衡とも呼ばれます.クールノー均衡がナッシュ均衡であるということは,両企業は相手の戦略(生産量)に対する最適反応を持っており,それぞれの最適反応が一致する点(相手の裏をかくことができない均衡点)で生産を行う,ということを意味しています.

 さて,理屈はこれぐらいにして,取りあえず計算問題を解きましょう.計算問題は,背後にあるメカニズムに比べれば簡単です.これまで通り,自社のMRとMCが等しくなるように生産量を決定するのです.そのため,均衡を導くまでのステップとしては,
Step.1 両企業のMR,MCを導出する.
 これについては特に説明は必要ないでしょう.完全独占の場合と同様にやりましょう.ただし,企業が2つになったために,それぞれの企業の生産量を示す記号が増えますね.
Step.2 それぞれの企業別に,「MR=MC」の式から最適反応を導く.
 MR=MCの式を立てると,両企業が(相手の生産量を踏まえて)生産量をいくらにすべきかが式の形で出てきます.相手企業の生産量はまだ決まっていませんが,それさえわかれば自社の生産量がわかるところまできました.
Step.3 両企業の最適反応の連立方程式を解く.
 これにより両企業の生産量が具体的な数値として表れます.
(おまけ Step.4 価格も計算する.)
 Step.3で出てきた生産量を需要関数に入れると価格もわかります.

 ちなみに,クールノー均衡は複占を非協力,同時手番ゲームとして解いたときの均衡でしたが,協力,同時手番ゲームである場合や,非協力,逐次手番ゲームとして解くことも可能です.これらについては公務員試験(行政職)で出題される場合があるので,3年次配当科目の総合政策演習B1②で説明します.

 クールノー均衡も慣れればそれほど難しくないので,配った例題で復習しましょうね.ちなみに,次のテキストに複占の詳しい説明があります.わかりにくかったという人はぜひ読んでみましょう.図書館にありますよ.
N.G.マンキュー『マンキュー経済学①ミクロ編』東洋経済新報社

 次回は寡占と独占的競争を説明します.

【中間試験について】
 そうそう,皆さんの希望を尊重して,中間試験をすることになりました.
日時:11月11日(水)4限(ミクロの授業内にて)
範囲:ゲーム理論,独占市場(完全独占,複占,寡占,独占的競争)
配点:30点(期末の配点は70点)
持ち込み:一切不可

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