2007年11月20日火曜日

経済学A 第10回

 今日は携帯市場を例に独占市場と完全競争市場について説明しました.

【授業の内容】
 今はまだあまり話題になっていませんが,2008年3月には昨年のソフトバンクに続いて,新たな企業(イー・アクセス)が携帯電話の音声サービス市場に新規参入します.果たして経済学の視点から,新たな企業の参入が市場にどのような変化をもたらすのでしょうか?

 まずは完全競争市場の条件について学びました.完全競争市場とは,経済学者の理想郷とも言うべき市場です.授業で紹介した条件がすべて満たされると,その市場で生産している企業には利潤がまったくでません.競争が熾烈すぎるため,少しでも儲かっていたら,新たな企業が参入してくるため,どんどん財(商品やサービス)の価格が下がってしまうのです.つまり企業は完全競争市場ではどんなにがんばっても儲からないのです.
 逆に完全競争市場ではない市場(不完全競争市場)では利益が出る余地があります.完全競争市場の条件を満たさないケースとして,独占市場,情報の非対称性,財の差別化,参入規制などが挙げられます.実際にこれらが発生する市場は儲かってそうですね.

 今日の題材である携帯市場は独占市場の一種である寡占市場です.このような市場では完全競争市場に比べて高い価格設定でも財を売ることができます.そのため利潤もちゃんと発生します.NTTドコモの純利益を例として見ましたが,ずいぶん巨額の利益が発生していましたね.しかし2006年度からやや減少しています.2006年度にはナンバーポータビリティが開始され,以前に比べ携帯市場も競争的になったので儲からなくなったのかもしれません.

 さて,このような独占はなぜ生まれるのか?授業では次の3つに分類しました.資源独占,政府による独占,自然独占です.
 また独占というのは社会的に見て良いものではないので(著作権や特許権など政府が認めているものもありますが,これらはあくまで例外です),多くの国では独占禁止法があり,企業による市場の独占を妨げています.

0 件のコメント: