2007年11月1日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第7回

 今日は前回に比べそんなに難しくないからか?みんなもお疲れでしたね.そんな日もあるでしょう.

【授業の内容】
 独占市場については今日でお終いです.今日は少数の企業が市場を支配する寡占と,競争的な市場であるが差別化により独占に近い状況となる独占的競争の2つを説明しました.

寡占
 寡占とは,類似した財を少数の企業だけで売っている状況のことです.具体的にはビール業界をイメージしてみるとわかりやすいと思います.ビールはどの企業も似たような価格設定をしていますが,多くの消費者はビールの味の違いがあまり違いがわからないと思います.ですから,普通の消費者は同じような味なら安いビールを選びます.
 そのため,あるビールメーカー(K社とする)が1社だけ値上げしても,ライバル企業たちは値上げには追随しない可能性が高いでしょう.ライバルが値上げをしないので,K社のビールだけが高い価格となります.そのためK社のビールの需要は大幅に下がります.
 ではK社が値下げをするとK社のビールに対する需要が激増してK社は大儲けか?というと,そんなに甘くはありません.値上げには追随しなかったライバルたちも値下げには敏感に対応します.なぜならビール市場全体の需要をK社に奪われてしまっては大変だからです.そのためK社が値下げをするとライバルたちも同様に値下げをします.結果としてK社はせっかく値下げをしたのにライバルも値下げをしたので,あまり需要は増えません.
 このように寡占市場においては,1社の値上げと値下げに対してライバル企業の行動は非対称的です.そのためK社の需要曲線は現在の価格を境として屈折したものになってしまいます.需要が屈折するため,当然ながら限界収入の形も複雑な形をすることになります.この辺はノートを確認しましょう.

独占的競争
 独占的競争とは売り手がたくさんいる競争的な市場です.ただし,競争的な市場では利潤が出ないので,企業はあの手この手を使って利潤を増やそうとします.その1つが差別化です.既存の財とは少し違った特徴をもたせることで,一時的に独占に近い状況を作り出すことができます.独占の場合,企業は(完全競争市場で決まる価格よりも高い)独占価格により利潤を得られます.
 しかし,完全独占市場とは異なり,この市場では新規参入が可能なので,ある企業がせっかく他社とは異なる特徴を持つ財を生産したとしても,すぐにライバルたちが模倣品を作ってしまいます.
 この辺はファッション業界によく見られる現象だと思うのですが,残念ながら僕はファッションには非常に疎いもので具体例が思い浮かびません….毎年,毎年ファッション業界で「今シーズンの流行の色は…」とか「今年のセーターは…」とか流行り廃りが激しい原因は,無理矢理にでも流行を作り出さないと完全競争市場になってしまうため利潤が出ないからだと思います.
 というわけで独占的競争という状況の下では短期的には利潤を出すことができるのですが,長期的には利潤はなくなってしまいます.

重要なお知らせ
 講義ではきっちりと日にちを決めていませんでしたが,11月29日に中間テストをします.範囲はゲーム理論と独占市場,つまり今日の範囲までです.
 うち1問は完全独占に関するもので,今日の講義の最後に板書した問題の数値を換えて出します.わからない場合は月曜5限に全学共通教育センターまでどうぞ.答えは教えられませんが,問題を解く過程のヒントは説明します.

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