2007年11月6日火曜日

経済学A 第8回

 今日は前回の貿易に引き続きグローバリゼーションの話です.
 レジュメの参考文献はその1例に過ぎませんが,近年グローバル化に関連した書籍は数多く出版されています.みなさんにとっては今すぐ,あるいは来年役に立つ話ではありませんが,10年後,20年後を見通すためには知っておくべき知識であり,視点であると思うのですが,残念ながら皆さんには通じなかったようです.

【授業の内容】
 グローバル化とは国境や距離を超えた結びつきが容易になる現象と言えるかもしれません.これまでは距離的な制限に阻まれていた行動が,時間や費用をほとんどかけることなく可能になっています.例えば電話もグローバル化の例でしょう.電話の普及以前は誰かに何かを伝えたければ会いに行くか,飛脚を使うか,狼煙をあげる必要がありましたが,現在ではほとんど手間はかかりません.世界の裏側にいる人にも1分あれば話をできるようになります.
 これまでのグローバル化というのはモノ(あるいはヒト)のグローバル化でした.iPodは台湾で作られているし,皆さんが着る服の多くは中国産でしょう.タコ焼きを例にしても,小麦粉はオーストラリアから,タコはモロッコやモーリタニアから来ていることが多いようです.更に言えばパソコンなんて多国籍の最たるものでしょう.

 しかし現在進行中である,これからのグローバル化はモノのグローバル化に加えて,サービスのグローバル化であると言えます.Y2K問題の際にはインドを中心とした多くの途上国のプログラマが活躍しましたし,授業ではトーマス・フリードマンの「フラット化する世界」を例に,国境を越えた家庭教師サービスや,事務委託の話もしました.
 これが意味することは何か?前回の貿易の話を思い出してみれば,貿易により比較優位がある産業は成長したのに対して,比較劣位にある産業は縮小あるいは消滅しました.そこで対象となったのは貿易できる商品(財)でしたが,今後は一部のサービスについても比較優位,比較優位の原理が働くようになる可能性があり,一部ではすでにそれは現実化しています.

 これまでは国境や言語の壁により守られていた日本のサービスも,今後は国際競争に晒される可能性があります.そしてそれが起こるのは200年も先ではなく,今現在の学生である皆さんが働いている間に起こるでしょう.皆さんはひょっとしたら20年後,いや10年後には中国やインドの労働者と仕事を奪い合っているかもしれません.
 しかし,そこで皆さんは競争に勝ち抜くだけの努力をしているのだろうか,と思うと陰惨たる気持ちになります….

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