2008年10月3日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第3回

 今回もゲーム理論の続きです.

【授業の内容】
 まず,ミニ・マックス戦略です.これは前回までのゲームとは目的が異なります.
 前回までのゲームでは,プレイヤーはそれぞれ利得の最大化を目指して行動しましたが,ここでは最悪の状況が起きると想定した悲観的なプレイヤーが,その中でもっともマシな戦略を選ぶ,というものです.言わば被害を最小化することを目的としています.

 続いて逐次手番ゲームをやりました.こちらでの目的は前回同様,利得の最大化ですが,時間の流れがある点が異なります.あるプレイヤーが行動して,それを見たプレイヤーが行動すると想定しています.授業ではライバル関係にある2店のコンビニによる値下げ合戦を説明しました.
 このような逐次手番ゲームでは,後ろ向き帰納法(Backward Induction)という解法を用います.簡単に言うと,一番最後に行動するプレイヤーの行動から最初に行動するプレイヤーへと,順に戦略を確定させていくのです.この解法のアイデアを使って1万円分配ゲーム(一般には最後通牒ゲームと呼ばれます)も解いてみました.
 どんどん新しいゲーム,新しい解法が出てくるので混乱するかもしれませんが,落ち着いて復習してみると,それぞれそんなに複雑なものではありません.

 ただし,最後にやった混合戦略を含むナッシュ均衡のゲームはややこしいですね.これまで,「プレイヤーはある1つの戦略を選ぶ(純粋戦略)」としてきましたが,ここでは確率を取り入れました.それにより,ジャンケンのように純粋戦略だけでは解が見つからないゲームにも必ず解が見つかります.
 授業では,テニスのサーバーがサーブを左か右に打ち,レシーバーはそれを予測するというゲームを考えました.どちらに備えた方が期待利得が高いかを判断して,相手の戦略に対する最適反応を導出したわけですが,この考えは独占市場の中の複占という状況を考える上で有効になります.そのため,テストには出さないとしましたが,ぜひ復習して,なんとなくでも理解して欲しいものです.

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