2008年10月27日月曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第7回

 今日は寡占と独占的競争でした.

【授業の内容】
 寡占では,売り手が少数である場合の企業の行動を分析しました.同質的な財を少数の企業が生産している場合,しばしば次のことが起こります.

・ある企業が値上げしたとき
 この場合,ライバル企業たちは値上げをせず,これまで通りの価格で販売します.その結果,値上げした企業の財に対する需要は急激に減少することになります.
・ある企業が値下げをしたとき
 対称的に,この場合,ライバル企業たちは値下げに追随します.なぜなら,値下げしなければ急激に売上が減ってしまうからです.結果,すべての企業が値下げしたため,最初に値下げした企業の売上はさほど増えません.

 このように値上げと値下げに対してライバル企業は非対称的な動きをします.そのため,ある企業の個別需要曲線は現在の価格を境にして,屈折した直線となります.また,そのため需要曲線から導かれる限界収入は,2段階に折れた形になります.
 この限界収入の形状から,このような寡占市場では,わずかに限界費用が変化しても,それが生産量や価格に反映されないことがあります.またそれは現実の経済を上手く反映しているように思えます.

 後半は,独占的競争についての説明です.独占的競争では,売り手が多数存在し,しかも自由に参入・退出できる市場において,個々の企業が利潤を得るためにどのような工夫をするかが理解できます.
 売り手が多数,しかも参入が可能である場合,競争が激しく利潤は得られにくいでしょう.そのため,企業は一時的にでも独占状態を作り出し,利潤を得ようとします.その方法が財の差別化です.差別化された財は,講義でも例に挙げたファッション業界以外にも,様々な市場で見て取れます.例えば清涼飲料水に小さなノベルティーグッズがオマケとして付いているのはよく見かけますし,女性用のファッション誌もオマケで差を付けているそうです.
 しかしこのような差別化が功を奏すのは,短期だけです.その企業が差別化で儲けているとライバル企業が嗅ぎ付ければ,ライバルも似たような差別化をしてくるでしょう.そのため,短期的には利潤が出ますが,長期的にはライバルの参入により,徐々に個別企業の財に対する需要は少なくなり,最終的には利潤は完全競争市場と同じく,まったく無くなってしまうはずです.

 最後に,これまで見てきた,独占市場の4形態(完全独占,複占,寡占,独占的競争)と完全競争市場を様々な点から比較,整理しました.それでも時間が余ってしまいましたが….

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