2008年10月3日金曜日

経済学A 第2回

 今回は「大学進学は合理的か?」を考えました.

【授業の内容】
 「当たり前じゃないか.大卒だと給料が高いんだぞ!」と思った人もいるでしょうが,果たしてどれぐらいの人が大学進学の機会費用を意識していたでしょうか?

 大学進学には当然ながらお金がかかります.まず学費が必要ですし,1人暮らしの人は生活費も仕送りしてもらわなければならないでしょう.そのため,卒業までの4年間で単純計算で1000万円ぐらいはかかることになります.しかし,実際にはこの費用に加えて,機会費用と呼ばれる費用が(見えない所で)発生しています.
 機会費用とは,ある選択肢を選んだときに,選ばれなかった次善の選択肢を選んでいたときに起こりえた状況のことを意味します.今回の例で言えば,皆さんは大学進学を選びましたが,もし進学しなかったら高卒として4年間働くことができたでしょう.その場合,もし年収を250万円とすれば4年で1000万を稼げたはずです.しかし,皆さんはその選択肢を捨てて大学に進学しました.つまり,学費や生活費などの1000万円だけでなく,働いて1000万円を手に入れるという選択肢を捨てたという意味で,さらに1000万円のコストが発生するのです.

 というわけで,皆さんはその費用に見合った分だけ,将来高い給料を得ることができなければ大学進学は(経済的には)間違った選択になります.

 さて,労働者が受け取る賃金はどうやって決まるのでしょう?実は賃金の分析には,前回学んだ「ダイヤモンドはなぜ高いか?」という考え方が使えます.なぜなら,賃金は労働者が企業に労働時間を売る場合の価格だからです.ダイヤモンドの値段も賃金もどちらも価格ですので,どちらも同様に需要と供給のバランスで説明することができます.低賃金しか受け取れない人は,需要に比べ供給が多い,つまり誰でも供給することができる労働力しか持ち合わせていない可能性があります.実際,高校生でもできるようなコンビニやファーストフードのバイトの時給はかなり安いですよね.

 次回は,今回までと違い,ちょっと堅い経済学のお話をします.

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