2008年10月9日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第4回

 ゲーム理論は前回で終わり,今回から独占市場です.

【授業の内容】
 独占市場には様々なケースが含まれます.
・完全独占(狭義の独占)
・複占
・寡占
・独占的競争
の4つです.最後の独占的競争は厳密には独占かというと難しいところですが.

 今回はこのうち,完全独占,つまり売り手が1社のみの市場を考えました.

 完全競争市場では売り手は多数いました.そのため,それぞれの企業は価格に影響を及ぼすほどの力を持っておらず,市場で決まった価格を受け入れざるを得ませんでした.
 しかし完全独占の場合,売り手は1社のみなので,好きなように価格を決定できます.ただし,あまりに高すぎると売れません.また安くすると沢山売れますが,1個当たりの利益は少なくなります(行き過ぎれば赤字になるでしょう).そのため,価格をいくらに設定するか,またどれだけ生産するかは難しいところなのです.

 説明では,財を新たにもう1単位生産したときに入ってくる収入(限界収入,MR)と,新たにもう1単位生産したときに発生する費用(限界費用,MC)の大きさに着目しました.
 (限界費用が逓増,あるいは一定であれば,)限界費用より限界収入の方が高い場合,その財は生産した方が利潤は増えます.逆に限界収入の方が限界費用より高い場合,その財を生産することで利潤は減少します.これらから,限界収入と限界費用が等しくなるように生産することで利潤を最大化できることがわかります.計算式で言えば,MR=MCとなるように式を作れば,利潤が最大になるような生産量が導かれます.
 なお,前期もよく出てきたMCは費用関数(総費用関数)を生産量で微分すれば導出できたように,MRも収入を生産量で微分することで導かれます.
 企業が利潤を最大化できる生産量さえわかれば,それを需要関数に代入することで,最適な価格もわかります.

 今回はこの計算(そしてその含意)を説明しました.練習問題を配布したので,必ずやっておきましょう.今回の計算は今後の講義でも基礎となります.

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