2007年6月19日火曜日

経済学Ⅱ 第11回

 今回からは市場の失敗について説明します.というわけで,市場の失敗の例として公共財と外部性の説明をしました.

【授業の内容】
 前回学んだ厚生経済学の第一基本定理からは,競争的な市場で価格と生産量が決定されると社会的余剰は最大になることがわかりました.つまり逆に言えば,競争的な市場が存在しない場合は死荷重が発生してしまうのです.
 今回はまず市場に任せておいても供給されない財である公共財を紹介しました.公共財とは,非競合性非排除性という2つの特徴を持つ財のことであり,NHKの放送や道路などがこれにあたります.まったく反対にこの2つの特徴を持たない財,言い換えれば競合性があり排除性がある財は私的財と呼ばれます.みなさんが買うほとんどの商品は私的財でしょうね.そして公共財でも私的財でもない財,つまり非競合性は持つが非排除性は持たない財,非排除性は持つが非競合性は持たない財,これらはまとめて準公共財と呼ばれます.
 公共財は非排除性があるために民間が供給することは稀です.なぜなら排除性を持たないので,お金を払わない人(フリー・ライダー)に利用させないことができないからです.そのため供給しても採算が取れないので,結果として供給されません.では公共放送や道路は我々に必要ないかと言えばもちろん必要なので,民間の替わりに政府が供給することになります.民間と違って政府は税金という形で強制的に集金できるので採算が取れますしね.
 ちなみにテレビの民放(地上波)は非競合性と非排除性を持つ立派な?公共財です.放送しても視聴者からお金を取ることはできませんが,CMを挟むことによって広告代を得ているので採算が取れるんですね.そういう経済取引があるかないか,という点から言えばテレビ局のお客は我々ではなくスポンサーだとわかりますね.

 さらに残った時間で外部性について説明しました.外部性とはある経済取引の結果,取引に関係ない第三者が受ける何らかの影響のことです.この影響が第三者にとって良い影響であれば外部経済,悪い影響であれば外部不経済と呼びます.また第三者に影響を与える経路が市場を通じたもの(地価の値上がりなど)であれば金銭的外部性と呼び,市場を経由せずそのまま影響を与える場合(騒音など)は技術的外部性と呼ばれます.
 またこの外部性を解決する手段としてピグー税を紹介しました.

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