2007年6月23日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第10回

 今回は価格メカニズムです.前回までの内容を元に,市場ではいかにして価格,あるいは取引量が決まるかを見ていきました.

【授業の内容】
 まず,ワルラス型価格調整メカニズムです.この特徴は,まず売り手が価格を決めることです.それに合わせて生産量も決まるし,需要量も決まります.その時に,超過需要が発生すれば売り手は価格を上げます.逆に超過供給が発生すれば価格を下げます.いずれにせよ,常識的な需要曲線,供給曲線の元では価格は需要と供給が均衡する点で安定的に定まります.ワルラス型を用いる例として,道路の渋滞とロードプライシングを考察しました.また高速道路の夜間値下げも,このメカニズムで理解できます.
 そのワルラスに対してマーシャルは,「企業はそんなに簡単に生産量を変動できない」と反論しました.マーシャルによれば,まず生産量が決まり,しかる後に価格が決定するのです.売り手が提示する価格と買い手が希望する価格のどちらが高いかによって,超過需要価格(買い手の価格の方が高い)や超過供給価格(売り手の価格の方が高い)が発生します.前者の場合では生産者は生産量を増加しますし,後者では減少します.
 最後に,生産開始から収穫までに時間がかかり,かつ保存が難しい財の価格を説明するクモの巣理論を紹介しました.この2つの特徴がある財は値段の変動が大きいと言われています.実際にキャベツなどの野菜は値動きが激しいですね.

 そろそろテストですが,試験間際になると研究室が混雑しますので,テスト対策は早めにしましょう.

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