2007年6月1日金曜日

開発経済学 第8回

 前回の続きとして「出生の決定」の説明をした後,「貧困と教育」について説明しました.
 途中でトラブルがありましたが,指摘されるまで全然気づきませんでした….もうないと思うけど,次にあったら早めに対処するので,気づいたら教えて下さい(難しいか).

【授業の内容】
 前回のマルサス,ライベンシュタインに続き,ベッカーとイースタリンの説について説明しました.
 ベッカーは教育の質と量はトレードオフする,つまり教育の質を重視すれば量は減らざるを得ず,量を重視すれば質は下がってしまうと指摘しました.具体的な数値で説明すれば,そんなに難しい話でもありませんでしたね.
 ベッカーの説は完全に経済学の立場(新古典派)に立脚していますが,イースタリンは経済状況のみならず社会的な要因により出生が決定されると考えました.代表的な仮説が相対所得仮説です.これは,夫婦が経験してきた生活水準と今の生活水準の格差により出生を決定するというものでした.
 この他,補足としてクズネッツの才能原則や,ボズラップの人口圧力を紹介し,人口増加のメリットを説明したり,人口政策,途上国に対する誤解なども説明しました.

 その後,ようやく本題である貧困と教育を説明しました.開発経済学において教育が重要である理由,それは教育を通じた貧困の連鎖の存在でした.貧困の連鎖をどこかで断ち切らなければ貧困は遺伝子のように親から子,孫へと引き継がれてしまいます.
 そもそも親はなぜ子供に教育を受けさせるのか,その理由を利己的動機,利他的動機,義務の3つに分類しました.途上国でも初等教育は多くの国で義務化されています.しかし,建前は義務化ですがそれが実際に機能しているかは別の話です.義務があってもそれにインセンティブがなければなかなか人は動かないものです.そのため,義務を課すよりも「子供に教育を受けさせるとお得ですよ!」と思わせなければなりません.あるいは,子供を学校に行かせたいけど不可能なのであれば就学を妨げる要因を取り除かなければなりません.というわけで,バングラデシュのFFEの例を説明しました.

【レポートについて】
決定済みの課題は次の2つ

第2回レポート 提出期限:6/14
 A,Bのどちらかを選択,どちらもA4用紙3枚以上(図表は除いた本文のみ).
A:「我々は世界の貧困のために何ができるのか?」
 すでにある様々な貧困撲滅への取り組みを紹介し,オリジナルの貧困対策を提案,その効果について考察,というのが1つのひな形になるかもしれません.
B:「第1回レポートのブラッシュ・アップ」
 前回提出したレポートにコメントをつけて返却するので,改善して下さい.

第4(?)回レポート 提出期限:7/12
 課題図書を読んでレポートを書くこと(中身は自由).もちろん感想文や要約を求めているわけではありません.こちらもA4用紙3枚以上(図表は除いた本文のみ).
 課題図書一覧は水ノ上のHPより入手可能.
http://wmt.bunri-u.ac.jp/mizunoue/filedl.html

 質問があればコメントをどうぞ.

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