2007年6月23日土曜日

開発経済学 第10回

 前回のレポートは「我々は貧困国に対して何ができるか?」でしたが,それに関連して貧困国への援助について説明しました.

【授業の内容】
 まずは貧困国を援助している組織を次の3つに分類しました.
・国際機関:国連グループ,世銀グループなど
・各国政府:ODAなど
・NGO:国境なき医師団,アムネスティなど

 次に援助の理論について説明しました.まずは貧困国を高成長軌道にのせるための援助資金の額を推計できるTwo-Gapモデルです.国際金融機関でも未だに中心的な役割を果たしているそうですが,イースタリーによってその妥当性の低さが指摘されています.
 続いて,1980年代にさかんに行われた世銀やIMFによる構造調整について説明しました.構造調整とは,市場原理を中心とした経済の自由化を推し進める目的で行われた融資のことです.1980年代では75ヶ国もの国に融資が行われました.しかし,各国の個別の成長段階を無視して画一的な政策を推し進めたために,多くの国では失敗しました.皮肉なことにIMFによる構造調整を受け入れなかった中国やボツワナは成長を果たしています.
 また,援助に関するミクロの視点では,1990年代以降盛んになってきた参加型開発を紹介し,そのメリットとデメリットを説明しました.

 今回の内容については,下記の文献が参考になるはずです.いくつかは課題図書にもなっています.

【参考文献】
J・E・スティグリッツ(2002)『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』徳間書店
 ―(2006)『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』徳間書店
J・サックス(2006)『貧困の終焉』早川書房
世界銀行(1993)『東アジアの奇跡』東経
 ―(2005)『世界銀行ガイド』シュプリンガー・フェアラーク東京

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