2009年4月18日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第3回

 今回も需要について学びました.今後もよく出てくる無差別曲線が初登場です.

【授業の内容】
 まず,前回導き出した需要曲線の意味を少し深く説明しました.価格の変化による需要の変化は同一需要曲線上の移動であるのに対し,同じ価格なのに需要が変化する時は需要曲線そのものがシフトしています.学生からは季節によってアイスクリームの需要が異なるという意見が聞かれましたが,まさにその通り,夏の需要曲線と冬の需要曲線は違うものなのでしょう.
 また,需要曲線を売り手側(企業)から見ると,一目で売上(収入)の大きさがわかるというなかなか便利なものです.企業が需要をどのように活用しているかは来週説明します.今回覚えてもらいたい式は次のものです.
収入=価格×量(記号では,R=P×x

 前回から1種類の財の需要について考えてきましたが,それを拡張して,2種類の財の需要について考えました.授業ではパンと牛乳を例にして,それらを朝食として1ヶ月にどれだけ消費するかを考えました.そこで,同じ効用が得られるようなパンと牛乳の組合せを集めてみると,原点に向かって凸の右下がりの曲線が得られました.これは無差別曲線と呼ばれます.無差別曲線を定義すると,一定の効用が得られるような財と財のすべての組合せを集めたもの,と言えます.また,無差別曲線にはその他,「すべての点には,そこを通る無差別曲線が1つだけ存在する」,「異なる無差別曲線同士は互いに交わらない」という特徴を持ちます.
 なお,無差別曲線の傾きは限界代替率と呼ばれます.同じ効用を保つためには,ある財の消費が低下したら,その代わりに他の財の消費を増加しなければならないから,代替という言葉を使うのです.

 後半は,予算線について説明しました.予算線とは,一定の予算をすべて費やして買うことのできる財と財の組合せを集めたものです.文章ではややこしいですが,計算すると簡単ですね.この予算線は,財と財の相対価格が変化すると傾きが変わります.また(実質)所得が変化すると(傾きはそのままで)シフトします.

 さあ,まとめとして,今回学んだ無差別曲線と予算線を1つの図に描いてみましょう.すると,限られた予算内では,どのような組合せで財を購入すれば最も高い効用を得られるかがわかりました.また,その点では,限界代替率と相対費用が等しくなっていることに注意しましょう.

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