2009年4月25日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第4回

 今回も需要についてです.今回は練習問題と記号一覧のプリントを配布しました.どちらも活用してください.特に記号一覧のプリントは毎回持ってきた方が良いでしょう.

【授業の内容】
 前回学んだ無差別曲線を利用して,(既に知っている知識ですが)価格の変化と需要の関係を確認しました.常識通り,価格が上がると需要は下がり,価格が下がると需要は増えるようです.この関係はまさに個別需要曲線に他なりません.
 さて,ここで利用した無差別曲線ですが,その形状が持つ意味をもう少し深く調べてみました.無差別曲線がL字型になるときと,直線になるとき,2つの財はそれぞれどのような関係にあるのかを考えてもらいました.L字型になるのは,左足の靴と右足の靴のように,両者が揃って始めて効用を生み出す財(と財)であり,補完財と呼ばれます.一方が固定されたままだと,もう一方がどんなに増えても効用を高めることはありません.また直線になる時は,お茶と水のペットボトルのように,ある財がもう一方の財の代わりになるような組合せであり,代替財と呼ばれます.このように無差別曲線の形状はそれぞれの財がどのような特徴を持っているかを物語ってくれます.

 さて,無差別曲線の形状にも意味があったように,需要曲線の形状(傾き)にも意味があります.需要曲線が急である場合,価格が変化してもあまり需要が変化せず,逆に緩やかな場合,価格が変化すると需要は大きく変化します.
 皆さんの普段の生活でも,「価格が安くなればたくさん買うんだけどな」という財と,「安くなったけどそんなにたくさんいらないな」という財があると思います.前者のように価格の変化に対して敏感に需要が変化することを需要の価格弾力性が高い,後者のように価格の変化に対して需要が鈍感なことを需要の価格弾力性が低い,と言います.需要の価格弾力性は計算によって求めることができます.計算式はここでは書きにくいので省略しますが,その中身は,価格が1%変化したら需要は何%変化するかを示しています.弾力性が1より大きい場合は需要の価格弾力性が高いと言い,この場合は値下げをすることで企業は収入を増やすことができます.逆に1より小さい場合は弾力性が低いと言い,値上げすることで収入を増やすことができます(値上げしても買ってくれるので).

 さて,この弾力性の考えを応用すると,なぜ学割が存在するのかがわかってきます.弾力性の異なるグループを区別できれば,それぞれに異なる価格を設定することで,合計の収入を増やすことができるからです.その他の例として,新刊本(ハードカバー)と文庫,ディズニーワールドの近隣住民割引などを説明しました.ホットペッパーなどで手に入る飲食店の割引券もそうですね.割引券を導入することで「こまめに切り抜いて使う価格に敏感な層」と「面倒だから使わない価格に鈍感な層」のそれぞれに事実上異なる価格を設定することに成功しています.この他にどんな例があるか考えてみてください.

 今日配布した練習問題の答えはそのうちHP上に掲載しますが,それまでに自分でやってみましょう.

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