2007年4月26日木曜日

開発経済学 第4回

 これまでの3回は途上国のデータを見たりしてたのですが,徐々に理論っぽくなってきています.少しは途上国に関心出てきたでしょうか?

【授業の内容】
 今日は典型的な開発経済学のトピックとも言える「二重経済」について話しました.テキストで言えば,pp.58-75にあたる部分です.まず我々現代の日本人は想像しにくいが途上国の労働者の多くは農業に従事していることをデータから説明しました.経済発展とともに国の産業構造が1次→2次→3次へとシフトするのをPetty-Clark's Lawと言うんでしたよね.
 テキストはアーサー・ルイスの二重経済モデルの一部をわかりやすく説明してあります.講義ではそれらに加えて,農村部の労働の限界生産力が0である余剰労働力をグラフを使って補完的に説明しました.理論モデルの説明をするのは「学生受けが悪いだろうなぁ~」と思い,これまで実は避けて来たのですが,(失礼ながら)意外とみんなの目がちゃんと生きてきたように感じました.ルイスのモデルは農村部の余剰労働が安価な賃金労働者として都市部へと流入する姿を描いていますが,都市部での完全雇用が前提条件として仮定されており,現実とは異なります.
 そのため,都市部での失業,あるいはインフォーマル・セクターへの吸収を説明するハリス=トダロ・モデルが生まれます.このモデルの説明はやや時間が短かったので,わかりにくかったかもしれません.詳しく知りたい人は次の参考文献をあたって下さい.

ジェトロ・アジア研究所他編(2004)『テキストブック開発経済学[新版]』有斐閣, 第2章.

【次回予告】
 次回は工業化と貿易について説明します.テキストの第5章を読んでくると理解しやすいでしょう.

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