2008年6月17日火曜日

経済学A 第8回

 今回は為替でした.前回までの資産運用との絡みで,外貨預金も紹介しました.

【授業の内容】
 銀行のホームページで外貨預金について調べてみると,ずいぶん魅力的な利子率がデカデカと提示してあります.通貨によっては年利20%というのもありました.期間限定のキャンペーンのようですし,今すぐこの銀行に預金するべきなのでしょうか?

 それを理解するために,まず円高と円安とはどういう意味か確認しました.わかったような気になってると思いますが,とっさに言われるとついつい間違ってしまいますね.
 具体的なレートを想定して,アメリカ産牛肉を輸入する場合と,アメリカで自動車を売る場合の例を挙げて為替の影響を理解しました.
 我々消費者や,原材料を海外から輸入している企業にとっては円高はありがたいですが,逆に日本で生産して海外に輸出している企業にとっては円安の方がありがたいようです.つまり円高と円安は立場によって,それぞれメリットとデメリットがあるようなので,一概に「円高が悪い!」,「円安が悪い!」と言うことはできません.

 さて,この為替レートですが,円とドルで言えば,1ドルを買う時に何円が必要かという価格のことのようです.すると価格である以上,やっぱり需要と供給のバランスで決まるのでしょう.サンドイッチの値段や,銀行預金の利率同様,需要と供給が大事です.
 配付した資料でもわかるとおり,為替レートは結構変動しています.そのため,投機的な目的で売買されることがあります.この点がサンドイッチとの違いです.サンドイッチは腐るので投機には使えませんよね.一方,ドルはしばらくほっといても,1ドルは1ドルのままです.
 この投機目的での外貨売買として,FX(外国為替証拠金取引)が近年流行っているようですが,リターンが大きい分だけ,リスクも大きいです.ここでもリスクとリターンは比例しています.うまい話はありません.

 後半は「実践外貨預金」と題して,実際の利率や手数料を使って,100万円をオーストラリアドルに替えて預金するとどうなるか計算してみました.そこから,預金期間の為替変動リスクがあること,結構手数料が高いこと,利子所得に税金がかかることなどがわかりました.今後,円安になると思えば外貨預金も一考の価値がありそうですが,円高になってしまえば元本割れの可能性もあります.つまり預金と言っても国内の銀行に預ける場合と異なり,リスクが存在します.

 最後に,経済学っぽく,為替制度について紹介しました.授業ではほとんど変動相場制の下での話をしてきましたが,日本円が変動相場制を選んだのは1973年のことで,それ以前は固定相場制です.世界的に見ると変動相場制と採る国はそれほど多いわけではなく,それ以外の制度(固定相場制やペッグ制度)を採る国の方が多いです.それぞれメリットとデメリットがありますが,それは興味がある人は調べてみて下さい.

 来週は貿易とグローバリゼーションについてやります.グローバリゼーションについては,金曜日に公開講座で講演があるのでぜひ聴いて欲しいと思います.
http://www.bunri-u.ac.jp/what_new/20080407/index.html

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