2008年6月20日金曜日

経済学Ⅱ 第11回

 今日は市場の失敗として,公共財と外部性について説明しました.

【授業の内容】
 前回,厚生経済学の第一基本定理として,競争的な市場で価格と生産量が決定されれば社会的余剰が最大になると説明しましたが,実際には市場が上手く機能しない場合もあります.その例として,公共財と外部性があります.

 公共財とは,非競合性非排除性を併せ持つ財のことです.これらの特徴がある財はタダ乗りされてしまうため,いくら需要があっても民間企業が生産することは困難です.例としては,道路や港湾などの社会インフラ,国防,警察,法制度や言語などもそれにあたります.
 また非競合性と非排除性のうち,一方しかもたない財を準公共財と呼びます.例えばNHKのBS放送は非競合性は持ちますが,非排除性は持たないので準公共財にあたります.また,公園のブランコは非排除性は持ちますが,非競合性は持ちません.
 では,非競合性と非排除性のどちらも持たない財はなんと呼ぶか,それは私的財です.普段みなさんがお店で見かける財のほとんどは私的財ではないでしょうか?

 後半は外部性についての説明です.外部性とは,ある経済活動が,それとまったく関係のない第3者に与える影響のことです.良い影響であれば外部経済,悪い影響であれば外部不経済と呼びます.環境破壊は外部不経済の典型例です.また,外部性がどういうルートを通じて波及するかについても,金銭的外部性(市場を通じて),技術的外部性(市場を通じないで)という区分もあります.
 最後に外部性に対する対処方法として,補助金・課税(ピグー税),内部化,交渉(コースの定理)などを説明しました.

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