2007年5月29日火曜日

経済学A 第8回

 前回が為替でしたが,今回は関連して貿易の話でした.授業の冒頭に少しグローバル化の話をしました.学生はなかなかピンと来ないかもしれませんが,グローバル化は皆さんの生活,あるいは人生にも大きな影響を持つ問題だと思います.ぜひ今日紹介した本を読んでみて下さい!

【授業の内容】
 今日の重要な点は比較優位に尽きます.が,それだけだと短いので概略を説明すると,まずパレート改善という考え方を紹介しました.誰もが納得するであろう,より良い変化かどうかを判断するものです.その定義は,「他の人を不幸にすることなく,ある人が幸せになること」がパレート改善です.つまり,ある人が幸せになっても,その陰で泣く人がいたら良くない,ということですね.
 次に,漁師と農民という互いに得意なものが異なる2人の交換について説明しました.つまり互いに絶対優位を持つものがある場合です.この場合,絶対優位があるものに特化して,それを交換すると両者とも幸せになれましたね(明らかなパレート改善).
 その後,イギリスと日本の例を挙げ,TVも自動車もどちらも日本の方に絶対優位があるケースを考えました.皆さんの大部分の人たちはイギリスは幸せになるが,日本は不幸になると予測したようです.が!結果は,日本が「あえて言えばより得意なTVを」,イギリスは「まだマシな自動車」という比較優位にある商品の生産に特化し,貿易を行うことで両国とも鎖国状態に比べて幸せになりました.意外ですね.僕も大学時代に驚きました.
 ひょっとしたら,皆さんの中には「両国とも幸せになるように水ノ上が恣意的に数字を動かしたんではないか!?」と思った人もいるかもしれませんが,そんなことはありません.確かにわかりやすい数字にはしましたが,無理矢理ではありません.しかし,教師を疑う,というのは大事なことです!僕が皆さんを騙している可能性もあると思って下さい.今回は騙していませんが・・・.騙すというと語弊はありますが,僕は「水ノ上の脳を経由した,バイアスのかかった真実」を皆さんに伝えているに過ぎません.
 最後に,この比較優位の例を現実の世界から読み取るとどうなるか,少し解説しました.日豪FTA交渉に反対する人がいる理由もわかったはずです.

【おまけ】
 今日紹介した2冊はどちらも図書館にありますよ!

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